師匠:40歳を過ぎて陶芸を始め、女魯山人と称されるまでになった 新進女流陶芸家仲谷春子
弟子:陶芸を通して様々な事を学んで行く三十路嬢 三枝優子
この会話はフィクションであり、実在の人物とは何ら関わりはございません。
No.3 芯出しと削り
弟子:お師匠さん、今回はせっかく上手に芯を出せたのに、削りの加減が分かりません。
穴を開けちゃいそうで、何か不安なんですよね。
師匠:確かにそうね。
でも怖がらずに、幾つか穴を開ければ上手になるわよ。
弟子:えっー、お師匠さん、そりょーないですよ。
何か良い方法はないんですか?
師匠:そうは言ってもね。
加減というのは体で覚えるのが一番なんだけどね。
仕方ないわね。
優子さん、これを使いなさいな。
弟子:(^^?)) エッ?
これ何ですか?
師匠:(〃^∇^)o_彡
それはね、優子さん。
ワンタッチ芯出し機よ。
轆轤にこうやってセットして、器を固定すればOKよ。
削ってみなさいな。
弟子:\(@^▽^@)/ ワーイ
凄いじゃないですか? お師匠さん。
しっかり芯が取れて、削りやすいですよ。
師匠:そうでしょ?
作る時に芯が取れてさえいれば、削りで狂うことがないのよ。
しかも、これの良さはそれだけじゃないのよ。
幾度でもセットの仕直しが利くの。
弟子:^(^^ )( ^^)^ ドレドレ
本当だ!
ちゃんと狂わずにまたセット出来ます。
素晴らしいじゃないですか。
師匠:素人が作る陶器の最も難点は重すぎることなの。
それは、穴を開ける怖さから、削りがいま一歩踏み出せないからよ。
でも、これを使えば、幾度でもセットの仕直しが利くから、厚みを確かめながら削ることが出来るの。
自分の思い通りの厚さに削ることが出来るようになるのよ。
弟子:そうか。(^-^*)(..*) ウンウン
確かに、これなら厚過ぎるところの削り直しも楽ですね。
でも、こんな楽しちゃっていいんでしょうか?
師匠:そう言う人もいるわね。
でも、こう考えたらどうかしら?
手轆轤では作りにくい物も、電動轆轤なら作りやすい物ってあるでしょう?
弟子:はい、沢山あります。
師匠:それは、電動轆轤という道具が技術の幅を広げたからなのよ。
道具を駆使することで、技術の幅は格段に拡がるものよ。
道具は楽をするためだけに生み出されたものではなく、不自由さから生まれた智恵でもあるの。
弟子:なるほど!
道具が技術の幅を広げてくれるわけですか。
師匠:長い経験の中で培われた技術を持っているプロには必要も無いものかも知れないけれど、時間も経験も少ない素人には、使い方しだいで素晴らしい武器にもなるわ。
弟子:なるほど!
これを使えば、私もお師匠さんみたいな、見た目はどっしりとしていて持ってみると軽く感じる、丈夫で使いやすい器を作ることが出来るんですね。
師匠:同じように作れるかどうか分からないけど、今以上の物を作れることは確かね。
弟子:分かりました。
道具を駆使することが大切なんですね。
師匠:プロは素人が思いもよらぬ程、努力や研究をしているわ。
技術・技法だけでなく、材料や道具にいたるまで。
それだけ多くの幅を持っているといると言ってもいいわ。
素人がプロと並ぶためには、時間も経験も足らないのよ。
その差を少しでも埋めてくれるものが、道具であるのよ。
弟子:それは分かります。
プロの努力って凄いですもの。
師匠:プロが努力によって身につけたものでも、道具を駆使すれば素人でもその差を埋めて身につけることも出来るの。
それは、この道具が技術の幅を広げてくれるからよ。
もちろん、これを使ったからといって、プロのように手早く作ることは出来ないけれど、少なくとも、プロ並みの作品を作れるようにはなるわね。
弟子:そうかっ!
未熟な私の技術を道具がカバーしてくれるんですね?
φ(。。* ) メモシテオコウ