師匠:四十歳を過ぎて陶芸を始め、女魯山人と称されるまでになった新進女流陶芸家・仲谷春子
弟子:陶芸を通して様々な事を学んで行く三十路嬢・三枝優子
この会話はフィクションであり、実在の人物とは何ら関わりはございません。
No.9 作陶・削り・収縮率
弟子:(*-゛-)? (゚.゚*)? ウーン どれだけ削ったらいいんだろう?
(*-゛-)? 乾くと軽くなるし、でも、釉掛けするとまた重くなるし?
師匠:どうしたの? 優子さん。
何をそんなに悩んでいるの?
弟子:あッ、お師匠さん。
実は、いま削りをしているんですが、この器がどのくらい軽くなるのか分からなくて。
師匠:そうね。
一般的に、粘土の収縮率は10%~15%と言われているわよね。
削りの時の重さも、だいたい収縮率と同じように考えて大丈夫よ。
弟子:(^ ^?) エッ?
そうなんですか?
師匠:勿論、重さの感覚は、単にその物の重量だけでは決められないわよ。
と言うのは、重さは重心位置と深い関係があるから、同じ重量でも重心位置を高めれば手取り感はそれだけ軽く感じられるの。
弟子:(^-^*)(..*) ウンウン なるほど。
師匠:それだけに、削りのバランスは重さと同じくらい重要なことなのよ。
では、下の写真とグラフを見て。
さらに、幅や高さの収縮率の変化グラフも見て。
弟子:(^-^*)(..*) ウンウン へぇ~、乾燥などでこんな風に変化するんだ。
重さ/g 削り後 素焼き前 本焼き後 軽減率
1 162 129 144 89%
2 180 145 159 88%
3 202 160 175 87%
4 206 163 180 87%
幅 削り後 素焼き前 本焼き後 収縮率
1 12.5 12.4 11.8 94%
2 12.6 12.5 11.9 94%
3 13.7 13.3 12.7 93%
4 14.0 13.4 12.9 92%
高さ 削り後 素焼き前 本焼き後 収縮率
1 6.1 6.1 5.6 92%
2 7.0 6.8 6.3 90%
3 7.1 6.9 6.4 90%
4 7.5 7.3 6.7 89%
師匠:これはひとつのサンプルであって、使う粘土や削り時期、形や釉薬によっても大きく変わってしまうわ。だから目安程度ね。
弟子:(^-^*)(..*) ハイハイ。
師匠:重さも%で見ると、だいたい10%強で収縮率に近いものになってる。 削り後の重量感からほんの少し軽くなった感じが本焼き後の仕上がりになるってことね。
只、重量感は収縮率ほどの変化としては感じられないの。
見た目の10%は以外に小さくなったと感じられるかも知れないけど、重さではそうでもないのよ。
弟子:そうか!
じゃあ、削った時には既に手取りが良くなければ、大して軽くは感じられないんですね。
師匠:そうなのよ。
釉薬が掛かるとまた重くなってしまうし、手取り感のバランスは軽くても重くても大して変わらないから、乾燥に期待し過ぎるのは禁物ね。
弟子:(^-^*)(..*) なるほどね~。
φ(。。* ) メモシテオコウ