参考になれば・・・
師匠:40歳を過ぎて陶芸を始め、女魯山人と称されるまでになった新進女流陶芸家仲谷春子
弟子:陶芸を通して様々な事を学んで行く三十路嬢 三枝優子
この会話はフィクションであり、実在の人物とは何ら関わりはございません。
No.5 プロとアマ
弟子:お師匠さん、今回は上手に出来たでしょう?
プロみたいだって、お友達に褒められたんですよ。
師匠:確かにそうね。
優子さんも腕を上げたわね。
弟子:そうでしょ。
お師匠さんのおかげ、芯出し機のおかげですよ。
<(^。^)> エッヘン
師匠:でもね、優子さん。
器は出来の良し悪しばかりがプロというわけではないのよ。
弟子:(^^?)) エッ?
そうなんですか?
師匠:(〃^∇^)o_彡
プロとは、採算性が有るかどうかよ。
作家は別として、職人は採算性で作っているのよ。
だから、採算を無視した素人は、時にはプロ以上の物を作ることだって可能なのよ。
弟子:(*-゛-) ウーン・・・ そうか。
師匠:そうでしょ?
職人は同一の物を素早く作れなければならないけど、素人は丁寧にどんなに時間を掛けても構わないでしょ。
納得が行くまで時間を掛けることが許されるのよ。
弟子:(^-^*)(..*) ウンウン 確かにそうですね。
私が作れる物はいつも一点物だし、何時間も掛けてます。
師匠:プロではそれは許されないことよ。
よく、出来映えの良い作品をプロ並みだって表現するけど、
本当に素晴らしい作品は採算性など度外視して作られた物が多いのよ。
弟子:そうか!
採算を考えないからこそ作れる物があるってことですね。
師匠:そうなのよ。
素人が作る器は、利益などとは無縁な所にあるの。
だからこそ職人がやらない器を作れるし、それが素人の強みでもあるのよ。
弟子:そうか。(^-^*)(..*) ウンウン
素人であることを誇っていいんですね。
素人に徹しろということですね。
師匠:プロにはプロとしての歩む道がある。
ならば、へんにプロなど意識しないで素人としての器を作った方が素敵だとは思わない?
弟子:はい、そうですね。
師匠:例えば、この飯碗の高台を見て。
高台周りに鎬(しのぎ)が入っているでしょ?
これは高齢者になると、飯碗を持っていてもフッと力が抜けてうっかり滑らせてしまうことがあるの。
それを、ここの溝が指に触れて刺激することで、飯碗を落とし難くさせているものなの。
弟子:なるほど!
確かに手に持つと指先が溝に触れます。
何かしっくりと手に収まりますね。
師匠:でもこうした手間暇は、なかなか既製品では採算が合わなくなるから一般的には作ろうとしないものなのよ。
採算など考えないからこそ作れるものでもあるの。
弟子:言われてみればそうですね。
お店でこうした装飾が施された飯碗は見ませんものね。
師匠:もちろん職人だって、量産のお手軽なものばかりを作っているわけではないわよ。
最近では少し高価でもこだわりの器を作る職人さんも増えた。
でも一方で、百均などの格安な器がはびこり、器なんてそれでいいじゃないって風潮が広まっているのも事実よね。
弟子:そうですね。
私も陶芸を始めるまでは、そんな気持ちがありましたから。
師匠:でも、使う人の身になって細やかな気遣いがなされた器を手にすると、器って素敵だなって思わない?
弟子:(^-^*)(..*) ウンウン 思います、思います。
こうした手作りの器を使ってみて、ご飯が美味しくなったし、
コーヒータイムも今まで以上にくつろげる気がするんです。
師匠:採算など考えない、素人だからこそ出来る作品を目指せば、陶芸はもっと楽しくなるし、魅力的な作品も生まれるんじゃないかしら?
弟子:なるほど、そうですね。
φ(。。* ) メモシテオコウ